【ハーレー・ショベル】油圧タペット調整&プッシュロッド調整まとめ



先日、記事にも上げましたがタペットを一式S&Sハイドロリックリフター(油圧タペット)セットに交換しました。


タペット調整(プッシュロッド調整)の方法は色々なやり方が存在する様で、悩むので個人的にまとめ。




油圧タペット調整(プッシュロッド調整)方法




1.フロント・リアシリンダー共にプラグを抜く


2.プッシュロッドカバーのストッパーをペンチやドライバーで外し、カバーを上にずらしてプッシュロッド&リフターユニットにアクセス


3.圧縮上死点を出す

キックペダルを少しずつ下ろす。
まずはフロントシリンダーから。
油圧リフター(タペット)とプッシュロッドを良く観察する。

→排気側のプッシュロッドが持ち上がり、下がる
→その後、吸気側のプッシュロッドが持ち上がり、下がる
→下がりきったところから、60度くらい、気持ち軽くキックを踏み進める

ここが圧縮上死点

この時、吸気&排気バルブが完全に閉じているのでプッシュロッドが2本共にフリーになり、指でスルスル回せる。
この状態でプッシュロッドを調整する

※ちなみに、排気側プッシュロッドが持ち上がり、下がる途中で吸気側プッシュロッドが持ち上がるパターンが。
これは排気上死点
この状態だと吸排気バルブが両方少し開いている状態(オーバーラップ)なので、プッシュロッドが2本共に突っ張り指では回せない。
この状態では絶対に調整しないこと。バルブを突き上げすぎたり故障の原因に。
排気上死点の場合は、さらにキックを踏み進めて、上記の圧縮上死点のタイミングまで持っていく。

4.油圧タペット調整は2通り

プッシュロッドを①外すか、②外さないか。

①プッシュロッドを外す場合はひと手間増えるが、作業が早く確実。(超絶おすすめ)
②プッシュロッドを外さない場合は、油圧タペット内のオイルをじわじわ抜く作業が必要になる。(かなり時間かかる、不確実)

まずは「②プッシュロッドを外さないやり方」から

プッシュロッドのロックナットを緩めて、アジャストナットを緩める方向へ回しプッシュロッドを少し伸ばす。

このままでは指でプッシュロッドが回せないが、10分ほどしばらく放置すると、油圧タペット内のオイルがじわっと抜けていき、スルスルと回せるようになる。

また少し伸ばし、10分放置。
この作業をプッシュロッドが指で回せなくなるまで(オイルが抜けて油圧タペットが底突きするまで)繰り返す。

ここまでやって、やっとプッシュロッド調整。
プッシュロッドの調整方法は下記の「5.プッシュロッド調整」の項目へ。

次に「①プッシュロッドを外すやり方」

4-1.プッシュロッドのロックナットを緩め、アジャストナットを最後まで締めてプッシュロッドを短くする。

4-2.プッシュロッドをカバーごと外す。

※稀にプッシュロッドを一番短くした状態でも外せない場合がある。
これがまた「あと少し…」という状況で外れないパターン。
マイナスドライバーで抉って外したくなりますが、リフターのフチが割れたり、油圧タペット自体を傷める可能性があるので、絶対にやらないこと。

この場合は、一度プッシュロッドを伸ばし、放置、伸ばし、放置…と繰り返す。
油圧タペット内のオイルが抜けて、プッシュロッドが外せる。

僕の場合は、これでも外れませんでした…。
というか待てませんでした(笑)

タペットブロックに当て木をして、プッシュロッドのナット部分にデカいマイナスドライバーを掛ける。
ゆっくりとテコの原理で持ち上げて、バルブスプリングを少し縮めてやると…簡単に外れました。

タペットブロックに直に工具を引っ掛けるのは止めた方が良いと思います。
欠けたり、歪んだりすると高くつきます…。

こういう時は、母材よりも柔らかい材質のものを使う。
ちょっとした木片は重宝します。

4-3.油圧タペットを指で引き抜く。

油圧ユニットは、プランジャー(ばね部分)と本体に分かれる。
指でまっすぐ引き抜く。

引き抜いたら、内部のオイルを抜き、パーツクリーナーなどでしっかり洗浄。

そして元通り差し込みますが、ここでしっかりと抵抗を感じるかチェック。
スルッと入る様なら油圧が維持できないので要交換です。

中にエアーを噛んでフワフワ?グニャグニャ?な感触になるのが正解。

パーツクリーナーのノズルなどを下の筒部分に差し込みながら、プランジャーを差し込む。
プシュッと言う音と共にエアが抜け、しっかり密着する。

この時、振ると中でカチャカチャと金属玉(ワンウェイバルブ)の音がするかチェック。

4-4.油圧タペットを元に戻す。

この時、タペットローラーの筒部分?(油圧タペットが収まる穴)にオイルが残っていますが、そのままだと油圧タペットを差し込んだ時に折角オイル抜きしたタペット内にまたオイルが侵入してしまいます。

正確なクリアランス調整をしようとするならば、この中のオイルも抜く必要があります。

おすすめは、100均などに売っている大き目のスポイト。
これでチューッと吸い出します。

4-5.プッシュロッドを元に戻す。

プッシュロッドをカバーごと元に戻し、アジャストナットを緩めてプッシュロッドを伸ばしていく。
ガタつきがない程度に長さを調整したらとりあえずOK。

5.プッシュロッド調整

プッシュロッドのアジャスターを緩め、プッシュロッドを伸ばしていく。
油圧タペットまで届いたら、プッシュロッドの台座からスプリングの一番下までの長さを13.5mmに調整する。

プッシュロッドアジャストゲージなる便利ツールもありますが…

僕は0.3mmくらいの薄いアルミ板を使って自作しました。
13.5mmになる様にハサミで切るだけです。

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13.5mmに調整できたら、ロックナットを締める。

この作業をインテーク・エキゾースト両方行う。

終わったら、リアシリンダーも同じように圧縮上死点を出し、諸々調整。

6.始動前チェック

いきなりエンジンをかけることはせず、慎重にチェックすること。

プラグを抜いたまま空キック。

プッシュロッドを一本一本指でつまみ回してみながら、緩いポイント(バルブ閉じる)、張るポイント(バルブ開く)があるかチェック。

タペットが一番下がりきったタイミングで13.5mmになるか再度チェック。

大丈夫そうなら、空キックを十分に行い、タペット内にオイルを行き渡らせる。

7.プラグを戻し、エンジン始動

最初はカチカチ・カチャカチャとタペット音がする場合も。
数分または15分ほど走行すれば、油圧が正常にかかり音は消える。
ずっと消えない場合は、プッシュロッドが短すぎるか、油圧タペット内のエア噛みの可能性も。

タペット音のする場所の特定は、貫通ドライバーなどをタペットやシリンダーヘッドの目玉部分に当てて耳で聞く。
コツコツ・カンカン音がすれば、その場所のタペットをチェック。

エア噛みの場合は放っておけば勝手に抜ける場合もあるが、再度オイル&エア抜きした方が早い。

また補足情報あれば付け足していきます。

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