10年以上交換していなかったプライマリーベルト(オープンベルト)を交換しました。
消耗品の中でも走行に関わる重要パーツ、切れるとレッカー確定なので、頻繁にチェックしていました。
コマから繊維の毛羽立ちは少々ありますが、張りも良く傷も無くまだまだいけそう?と使い続けていましたが…
ある日気づいてしまいました…
コマがベルトから剥がれている!!!
たまたま、剥がれている部位が見える位置に来ていたので分かりました。
数か所、この様な感じでした。
あぶね~~~…
ベルトの見た目に異常が無くても、剥がれのチェック、重要ですね。
早速ベルトを注文。
僕のショベルはオープンプライマリー仕様、これまで使っていたプライマリーベルトはPRIMO製「30853」幅1.5インチ・コマ8mm・歯数132。
今回はBDL製を使います。
ベルトの交換方法はいくつもあります。
★フロントプーリーを外す方法
★ミッションを移動させて外す方法
★エンジンを移動させて外す方法
★クラッチシェルを外して(ずらして)外す方法
中でも、旅先などで簡単に交換できる方法は「クラッチシェルを外す(ずらす)」です。
その他の方法は、トルクレンチや大型の工具が必要になります。
オープンプライマリーベルト交換方法
1.クラッチ板を外す。
※定番の丸ワッシャーを噛ませてプレッシャープレートを外し、スチールプレートとフリクションディスクを全て取り出します。
2.ラムジェットリテーナーを外す。
※3本のスタッドボルト根元にあるスナップリングを取り外します。
通常「A」の位置になっています。
元に戻す時も同じ位置になる様覚えておきます。
スナップリングプライヤーは穴用・軸用2タイプありますが、ラムジェットリテーナーには「軸用」(先端が広がるタイプ)を使います。
スナップリングプライヤーは何かと使うシーンがあります。
穴用・軸用の切り替え兼用できるタイプがおすすめです。
3.クラッチシェルを引き抜きながら手前に「ずらす」。
※ベアリングが落ちない様にゆっくり、全部引き抜かなくても良いです。
4.プライマリーベルトを外す。
※クラッチシェルをずらした隙間(ミッション・クラッチハブ側)にベルトを落とすと、フロントプーリー側に余裕ができます。
そのままフロント側を外し、ベルトを取り外します。
5.新しいベルトを装着し、クラッチシェルを元に戻す。
※新しいプライマリーベルトをフロントプーリーに掛け、クラッチシェルを差し込み元に戻しつつベルトを掛けます。
あとはラムジェットリテーナーを元に戻し、クラッチ板を元に戻します。
注1:ラムジェットリテーナーを装着する際、3本のスタッドが全て元の”A”位置になる様にセットすること。
注2:ラムジェットリテーナーのスナップリングは、スタッドの根元の溝に「カチッ」と音がするまでしっかり嵌め込むこと。
注3:スナップリングの口が外側を向く様に調整すること。(遠心力で外れるのを防ぐため)
6.ベルトの張りをチェック。
ベルトの前後真ん中くらいの「たわみ」をチェック。
上下にゆすり、1~2センチほどの張りになっているか。
※ベルトは冷間時は緩み、温間時(温まると)多少張ります。
※ベルトを張りすぎると、メインシャフト部からのオイル漏れや、ミッションに負担をかけて良い事がありません。ダルダルは当然いけませんが、ある程度緩い方が良いです。
これでベルト交換完了です。
稀にどうしてもベルトが掛からないことがありますが、その場合は以下の手順へ。
6-1.ベルトが掛からない場合は、ミッションをずらす。
※元々のベルトの張りが強い場合、新品のベルトがどうしても掛からないことがあります。
その場合はミッションプレートのナットを緩め、ミッションを少し前に移動させます。
ミッション下側を覗くと、ミッションプレートが。
調整用ナット4個、キックカバー下にあるフレームマウントのナット1個の合計5個のナットを緩めます。
※使用するのは9/16インチソケット。
5個のナットを緩めたら、マウントプレート後方にある2個の六角穴付ボルト(キャップボルト)を六角レンチ(ヘキサゴンレンチ)を使って締め/緩め調整し、ミッションを移動させます。
※締め込む…ベルトが張る(ミッションが後輪側へ)
※緩める…ベルトが緩む(ミッションがエンジン側へ)
※使用するのは3/16インチヘキサゴンソケット。
6-2.緩めたミッションプレート&フレーム固定の5個のナットを規定トルクで締める。
※締め付けトルクは28~37Nm。
今回は真ん中33Nmで締め付けました。
トルク的に「これで大丈夫?」な感じの強さですが、ミッションがアルミなのでトルク厳守、締め付け過ぎに要注意です。
ナットは緩み止め付きのナイロンナットなので、緩み落下は起きないはず。
※ナイロンの緩み止めが効いていない、スルスル回る場合は要交換です。
6-3.ドライブチェーンを調整。
ミッションを動かした場合は、チェーンの張りも変わります。
手順は下記を参照ください。
プライマリーベルト交換、以上になります。
やってみると超簡単。
最初のベルトの張り(1~2cm余裕)が問題なければ、基本的にミッションの移動&ドライブチェーンの調整は必要ありません。
このやり方であれば、旅先でのプライマリーベルトが切れた場合でも、予備ベルトと最低限の車載工具にスナップリングプライヤーを加えておけば、その場で対処可能です。